身体構造からみる犬の「本来の食生活」

身体構造からみる犬の「本来の食生活」 犬の「本来の食生活」とは

犬は長い年月をかけて進化をし現在の肉食動物としての身体構造を獲得しました。この身体構造に着目すると犬が本来どういう動物なのか、どのような食性を持っているかが読み解けます。こちらの記事では犬の「本来の食生活」を知るためにまずは犬が辿ってきた進化の歴史、そしてそれにより獲得した身体構造について解説していきます。

①犬の進化と歴史

犬という動物の進化の歴史は、約4,000万年とされています。この長い年月をかけて、現在の犬が誕生しました。最も古い犬の祖先とされる動物は「ミアキス」と呼ばれ、木の上に住み、イタチほどの大きさで完全な肉食動物でした。これが進化し、様々な動物に分化しました。犬、キツネ、タヌキ、ネコ科の動物、そして熊もこの祖先から進化したと言われています。

ミアキスから分化した犬の祖先は木から降り、森の中で地面でも餌を取るようになり、その後さらに草原などの広い範囲へと生活圏を広げていきました。この過程で、走る能力や強力な顎など、肉食に適した機能を持つ個体が生き延び、進化を遂げました。犬の体は、このようにして、広い縄張りを持ち、長距離を歩くのに適した筋肉を持つようになったのです。

②口の構造からみる犬の食性

食べ物を摂取する際に一番初めに通る器官である口はその動物の食性を分かりやすく体現しています。この章では犬の口の構造からその食性を見ていきます。

肉食動物と草食動物の口の違い

犬の顎と歯の構造は、肉食動物に適したものです。草食動物である牛と比較すると、牛の口は上の歯が骨状で、下に切歯があり、奥には上下に臼歯が並んでいます。これに対し、犬は奥歯まで臼歯はなく、鋭い上下の歯で獲物を捕らえ、食いちぎるための構造をしています。

顎の動き

草食動物の顎は横に動き、食物繊維をすりつぶして消化吸収を助けますが、犬の顎は上下にしか動かず、咀嚼を必要としない肉を効率よく摂取するための構造です。このような口と歯の構造からも、犬が肉食動物であることが理解できます。

③消化器官からみる犬の食性

食物が口を通った後にたどり着くのは胃や腸などの消化器官です。
犬は消化器官のつくりからも肉食動物であることがよくわかります。

消化器官の長さの違い

草食動物の消化管は非常に長く、牛の場合は体長の20倍、人間は10〜12倍、犬は4〜6倍、猫は3〜4倍の長さです。これは、消化の悪い食物繊維を摂取する草食動物が、長い腸管でじっくりと栄養を吸収するためです。

肉食動物の消化器官

肉を食べる犬は、短い腸管で効率よく栄養を吸収します。これにより、肉を消化しやすく、短時間で吸収が完了します。長い腸管を持つ草食動物とは対照的に、犬の消化器官は肉を主食とすることに最適化されています。

消化の過程

食べ物は口から入り、胃で消化酵素と混ざり、十二指腸に運ばれ、腸で吸収されます。犬の場合、胃酸のpHが低く、非常に強い酸性で、殺菌能力が高いです。これにより、肉を効率よく殺菌、分解し、消化吸収します。犬が人間とは違い生肉を食べても食中毒を起こしにくい要因はこの酸性の強い胃酸にあります。

肉の消化吸収

肉は消化酵素への反応が良く、短い腸管で迅速に消化吸収されます。これに対し、植物性の食物は消化が難しく、長い腸管を必要とします。犬は短い腸管で効率的に肉を消化吸収することができるため、肉食に適しています。

まとめ:身体構造をみると犬の「本来の食生活」が生食・肉食であることが分かる

犬の進化と身体構造を詳細に見ていくと、彼らの「本来の食生活」が生食・肉食であることが明らかになります。犬の進化の歴史は約4,000万年にも及び、その間に木に住む完全な肉食動物から進化し、広範な生活圏を持ち、肉を効率よく摂取するための身体構造を獲得してきました。口の構造からも、鋭い歯と上下の顎の動きが肉を引き裂くのに適しており、また、消化器官の短さや強力な胃酸は肉の消化吸収を助けます。これらの特徴を総合すると、犬が生来の肉食動物であることが理解でき、その食生活は生食・肉食が最適であると言えるでしょう。

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